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著者が昭和のモーレツサラリーマンだった時代。インドネシアに最初に出張で訪れたのは今から35年前の1985年。クルマもさほど多くない街中を忙しそうに走っていた三菱のあるモデル。同じデザインのまま今も新車として製造され販売されている。

三菱のコルトL300(日本名デリカー当時の日本で)というクルマである。

三菱コルトL300(ボックスカーゴ仕様)

箱型のボディに角目2灯。何度かマイナーチェンジをしてはいるが直線的なボディラインは1979年現地生産・発売以降40年以上変わらない。いかにもレトロな雰囲気を醸し出している。ピックアップが基本ボディでディーゼルエンジン搭載。今でも当地の三菱の工場で新車が製造されている。まさに化石とも言えそうなモデルである。

インドネシアのあちこちでこのデザインのL300が忙しく働いている。都市部のメイン道路から裏通り、田舎道やマーケットの雑踏のなか。近中距離のカーゴキャリアーとして物流の主役となっていることがよくわかる。ミニバンに架装されたモデルは観光業や一般企業の安価な多人数移動用途に使われている。現在も月間2000台が新車として販売されている人気モデルなのである。

三菱コルトL300(バン架装モデル)

40年以上モデルチェンジしていないクルマがなぜインドネシアで売れて、現地生産と販売が成り立っているのだろうか?

長年の販売し続けた結果、インドネシア全土にはこのモデルが66万台も走っているのである。修理やメンテナンス用の部品が全国津々浦々に行き渡っている。使い古した車の修理は地方の小さなパパママショップも熟知している。新車については保証期間内修理として認定販売店がユーザーの面倒をしっかり見たあと、中古車として再販された後のアフターサービスの問題は正規販売店がカバーしていない田舎でも問題はない。

生産設備の原価償却がとっくに切れて安いコストで作れるメーカー。黙っていても商用車ユーザーが買いに来る販売店。いい値段で取引のできる中古車業車。同じ部品が定常的に販売できる部品ショップ。地場の修理工場(パパママショップ)。それとメンテナンスや修理にストレスを感じず気持ちよくお金儲けができるユーザー。モデルチェンジしないことでみんな大喜びの小型商用車、L300なのである。

三菱コルトL300(ピックアップトラック)ーKMMSカタログより

流石に新排気ガス規制には現地対応できなかった?

しかしながらこの三菱の商用車も流石に設計の古さからディーゼル車の排気ガス規制強化にインドネシアでは対応出来なかった模様。EURO2からEURO4規格への変更に伴い、同様のモデルを生産販売している隣国フィリピンからの輸入に切替えインドネシアでの継続販売を死守したようだ。

幾多の中小事業者達がコストと睨めっこしながらモノを運んで日々お金儲けをしている東南アジア諸国。廃車制度の無い国では、クルマは何度も修理と整備を繰り返しして数十年使用される。商用ユーザーのことを考えるとクルマはモデルチェンジしないことがバリューとも言えよう。メーカーはお客の声を聞きながら小改良を地道にやり図面を継続維持行くべきなのだが、儲からなくて手間がかかるという理由で無くなってしまった小型商用車も多い。

人を運ぶ、モノを運ぶのがモビリティという言葉の原点。この三菱L300に大きな拍手を贈りたい。

フィリピンでも生産・販売しているレトロ商用車三菱コルトL300
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