0 0
Read Time:27 Second

〜今後日本車を脅かす存在となっていくのか?〜

2022年8月11日から21日まで、インドネシア・ジャカルタ郊外で国際モーターショーが開幕された。
インドネシアでシェア90%を超えるトヨタ、ホンダなど日系ブランドや世界の主要カーブランドの展示に、二輪車や部品メーカーなどが花を添える盛況なショーとなった。

  • まとめ
    • インドネシア国際オートショーでひときわ目立つ中国ブランド。
    • いずれも本国でのお家芸の電気自動車(BEV)をアピールしインドネシアでの販売拡大を目指している。
    • 現地生産を表明するメーカーもあるが、僅か年間100万台市場での採算性の取れる見通しの薄い多額の国産化投資は、ビジネスというより政治的背景を感じざるを負えない。

そのなかでもひときわ存在感を発揮したのがヒョンデ/キアの韓国勢とウーリン(五菱)などの中国勢。各社とも大きなスペースを確保し新モデルをアピール。日本の各メディアもその勢いに度肝を抜かれ「日本車大丈夫か?」という論調もちらほら。

昨年以降、政府の政策に応える形で他社に先駆けインドネシアで電気自動車(BEV)の生産・市場投入を強烈に打ち出しブランドイメージを向上させてきたヒョンデは、今年はメインの展示を量販国産車の新MPVとし会場での販売促進を図る。

一方、得意のBEVを全面に打ち出し日本車王国のインドネシアに楔を打とうとする中国ブランド。一昨年よりインドネシアに進出している中国ブランドのウーリン(上海通用五菱汽車)は、本国でのBEVベストセラーである「宏光miniEV」をベースとする「Air EV」の発表を行い、インドネシアでのBEVの量販に舵を切った。ウーリンと同様すでに現地生産を始めているDFSK(東風小康汽車)、タイからの輸入車を既に販売しているMG(上海汽車グループ)や再進出を果たしたChery(奇瑞汽車ー本社は李克強首相の出身の安徽省)など中国勢はまさに百家繚乱(ひゃっかりょうらん)の様相を呈してきた。

その狙いは

インドネシアの自動車市場はようやく2年に渡るコロナ禍から回復し本年年間は100万台規模になる模様。とはいえ中国本国と比べればその規模ははるかに小さく僅かに25分の1。(ASEAN市場全体を足しても10分の1に過ぎない。)そのインドネシアで大型生産投資をしても販売台数から考えとても採算が取れるとは思えないのだが。

中国ブランド車は数年前を比べると格段に商品魅力や品質が良くなっているとはいえ、目の肥えた富裕層が中心のインドネシア新車市場で、ブランド力の高い日本車の牙城を切り崩し、かつ振興韓国ブランドとも戦うのは並大抵のことではない。ましてや、EVの市場からの反応も量的には未知数。

一連の中国ブランドの動きは、世界一の埋蔵量を誇るニッケルなどEVのバッテリー材料として欠かせない資源利権を狙ったチケットの確保ではないだろうか。あるいは”一帯一路”政策のなかで難しくなってきた陸路ルートから海ルートへの転換の現れかとも。言わばビジネスではなく中国の外交や政治の一貫をになった中国自動車メーカーの動きではないか、という穿った見方もできるのであるが。

Happy
Happy
0 %
Sad
Sad
0 %
Excited
Excited
0 %
Sleepy
Sleepy
0 %
Angry
Angry
0 %
Surprise
Surprise
0 %
Next post 東南アジアでのモータリゼーションという幻影

Average Rating

5 Star
0%
4 Star
0%
3 Star
0%
2 Star
0%
1 Star
0%

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です